「ビーコン」とは、無線局などから発信される電波を受信器でキャッチし、位置情報や各種デジタルデータ取得するための電子通信機器をいいます。主に、無線LANやBluetoothといった通信手段が用いられています。小型であり低消費電力という点が大きな特徴です。製品に内蔵したり衣類に取り付けるなど、活用の幅が広がっています。このページでは、ビーコンの用途や特徴について詳しくご紹介しています。
ビーコンの機能
位置情報の取得
ビーコンの通信機能を用いて位置情報を探知するシステムの構築が可能です。通常、送信機にはそれぞれ「固有のID」が備えられています。受信器が電波をキャッチすることで発信機側の位置情報を捉える仕組みです。主に、子どもやお年寄りの見守りサービスとして用いられています。
データおよび情報の通知
ビーコンを用いてデータをプッシュ通知するシステムの構築も可能です。データの受信機は用途に応じた専用デバイスとなります。近年では、iPhoneが「iBeacon」を採用したことで話題となりました。
行動履歴
ビーコン受信機のエリア内にて、発信機を身に付けた人の行動を追跡できます。これにより、買い物や観光などのアクセスを”見える化”することが可能となります。効率化やマーケティングに応用できます。
ビーコンとGPSの違い
ビーコン自体は相互通信を行う機能をもちません。発信側が定めた情報を受信側に伝達する技術に特化しています。
従来、ビーコンは道路交通・航空・船舶といった交通用途の位置情報を発受信して現在地の確認や交通誘導を行うために用いられていました。例えば、自動車における用途の場合はカーナビゲーションや道路交通情報通信システムに組み込まれています。これにより渋滞状況や通行止めなどの情報をキャッチすることが可能です。
また、位置情報を取得する機器としてよく似たものに「GPS」があります。ビーコンとGPSの違いは、情報の送受信が可能な範囲にあります。ビーコンは比較的狭い範囲内でしか通信がでませんが、室内・屋外を問わず使用することが可能です。一方のGPSは人工衛星にて測位するため広範囲の通信が可能となります。しかし、電波が遮断される屋内・地下などでは使用することができません。
それぞれ得意・不得意の分野があるといえます。
iBeacon(アイビーコン)の普及
iBeacon(アイビーコン)とは
2013年にApple社が「iBeacon」を発表しました。これにより、モバイル機器やスマートフォンなどのデバイスで情報を受信できるサービスが展開可能となりました。iPhoneでは、Bluetoothの通信技術を搭載しています。位置情報や各種データの送受信を実現したことで注目を集めました。例えば、スマートフォンのアプリと連動するサービスがあります。カメラを用いたナビゲーションやサイネージから受信するクーポン、お年寄りの行動追跡、小さい子供やペットの見守りシステムなどに応用できます。
iBeaconの普及
iBeaconは位置測定を「遠い」「近い」「非常に近い」の3段階で把握できます。これにより、それぞれのポジション別に設定した異なる情報発信が実現します。例えば、店舗内での商品PRや在庫確認、店舗外における広告誘導やクーポン配布など、新たな形のマーケティングに繋がるとして注目を集めています。一方で、iBeaconを使用するためには専用アプリの導入やBluetoothの起動といった条件が必要となります。使用に対するハードルは確かにあります。しかし、新しいサービスの展開やショッピングスタイルなど、ユーザーの利便性向上に繋がるビジネスチャンスが多く今後の普及が期待されています。
ビーコンの用途
ショッピング
ビーコンを保持して受信エリアに侵入すると、その行動履歴がデータとして残ります。これは、ショッピングにおける買い回りに展開できます。顧客の購買に至る動きを調査する重要な情報となります。
工場
人や物の所在を追跡して工場内の稼働率測定、在庫管理や勤怠システムに用いられます。ビーコン発信機は小型の製品が多く、移動や作業悪影響を及ぼす心配もありません。
ナビゲーション
空港や駅といった広い面積の室内においてはGPSが測定できず、マップや誘導アプリなどが使用できないケースがあります。ビーコンは、屋内用の位置情報ナビゲーションサービスから搭乗時間のプッシュ通知や小売店のPRまで、複合的な情報発信ツールとして役立ちます。
遭難防止
ハイキングやスキー、登山などを行う際にビーコンを身に付けることで、各ポイント(受信機を設置したエリア)の通過を外部から探知、管理することができます。位置情報を追跡するようなイメージです。どのコースを何時に進行していたかが判り、現在地の推測が可能となります。