津波からの避難

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2011年3月11日に発生した東日本大震災。最大震度7の巨大地震を起因とする未曾有の大津波に襲われました。10mにも達する、それまでの災害想定を大きく超えた津波であり、多くの人命や財産が失われました。現在では震災から10年余の時間が経ち、災害予防や避難行動、復興活動の総括が行われています。被災時にどのような行動を取れば命を守ることができるのか。体験を将来に繋げていくための情報伝達やコミュニケーションも進められています。このページでは、津波災害に焦点を当てつつ、命を守るために必要となる防災・避難対策(行動)について詳しくご紹介しています。

津波とは

津波とは

地震や火山活動といった海底地形の変化を起因とする自然災害により引き起こされる「海洋の巨大な波」のことをいいます。波長がとても長く、非常に高い波となる点が特徴です。海上で発生し、波の勢いが陸地に到達することにより、人々の生活地盤を飲み込んでいく大きな災害となります。

津波の高さ

通常、気象庁が発表する津波の高さは「海岸付近で測定された波高」を指します。他方、遡上高と呼ばれる「津波が陸地を駆け上がった高さ」が示されることもあります。数値の違いに注意が必要です。東日本大震災では福島県相馬市で9.3m 以上もの津波が観測されています。また、遡上高では40mもの高さに達したとされています。

津波の速度

津波の速さは、海底の深さにより異なります。例えば、水深が1mの場所であれば時速34km程の速さです。水深が4000mの場所になると時速700kmもの速度となります。実際に、1960年に発生したチリ地震の際、震源地から約18,000kmも離れた日本の沿岸部においても1日後に津波が観測され、大きな被害が生じました。

 

津波の規模

津波の規模

津波による災害の規模は非常に大きくなりやすいとされています。特に、沿岸部では注意を払う必要があります。規模自体を示す数値や単位はありませんが、過去の事例よりどのような被害がもたらされるのかを予測できます。

チリ地震

1960年に南米のチリにて発生した巨大地震です。マグニチュード9.5を記録し、地球の反対側にある日本にも津波が到来しました。チリの沿岸部では約18mもの高さの波が伝播したとされいます。およそ2000人余りもの方々が被害に遭い亡くなっています。

スマトラ島沖地震

2004年にインドネシアのスマトラ島北西沖で発生した地震災害です。この地震により、インドネシアやインド洋に面した国々で大規模な津波が発生しました。平均10mにも及ぶ高さの津波が数回程インド洋沿岸部に到来したと観測されています。全体の死者数は22万人を超えました。そのうち津波による被害での死者数が大半を占めるとされています。

被災当時、インド洋の各国に津波早期警報システムが備わっておらず、避難勧告を促せなかったことも被害を増大してしまった一因であるといわれています。

東日本大震災

2011年に日本の東北地方沖で発生した地震災害です。M9の巨大地震であり、この影響で国内観測史上最大の津波が発生しました。津波の高さは相馬港で9.3 m以上が観測されており、最大遡上は40 mにも及びます。死者は1万5000人にも上り、戦後の自然災害として最も大きな被害となりました。被害が拡大した原因のひとつとして、当時の津波想定が低く防災インフラが機能しなかったこと、ハザードマップの未整備により安全な場所がわからず避難行動に時間が掛かった、といった点が挙げられています。

 

津波から避難するための方法

津波から逃れるための方法

陸に上がった津波は、およそ時速36kmの速さで進行します。これは1秒間に10m進む計算で、オリンピックの陸上選手と同じくらいの速度です。津波が到達してからの避難では遅すぎることを念頭にしつつ、被害から逃れるためには下記のような方法が挙げられます。

地形を理解しておく

自分が居る所在地について、その地形や特徴を知っておくことが大切です。特に沿岸部の場合は危険性が飛躍的に高まります。海側と山側の方角(位置)を正確に把握しておく必要があります。また、土地勘が無い場合は事前にマップを確認し情報を得ておくと良いでしょう。

ハザードマップを確認する

ハザードマップは災害の危険性などを記した地図情報です。主に各自治体が発行しており、市町村のホームページなどから入手することが可能です。ハザードマップには各災害の発生確率や避難ルートなどが視覚的な情報として記されており、防災に欠かせないツールとなっています。自分が住んでいる場所であっても災害や防災について知らないことは多いと思います。事前にハザードマップを確認し、家族や友人とも共有しておくことをお勧めします。

安全な避難ルートを覚えておく

もし津波が発生した場合、どの経路が最も安全且つ迅速に避難拠点へ到達できるのか。そういったルート想定を行うことが大切です。ハザードマップにて経路を確認することも非常に重要です。しかし、一番確実なのは自らの足で実際に避難ルートを歩いてみることです。避難の時間感覚も分かるため、いざという時の正確な判断にも繋がります。避難ルートが分からない場合は防災サインや避難標識といった案内情報をもとに行動すると良いでしょう。

標高が高い場所へ避難する

津波からの避難では、高い場所へ移動することが鉄則です。水平方向の移動では押し寄せる波に対して効果が薄まります。なるべく垂直方向への避難を心がけましょう。自治体などが指定している避難ビルや防災タワーなども避難に役立ちます。地震の発生から津波の到来までは早くて数分となっています。いかに高い場所へ迅速に移動できるかが重要となります。そうした中、津波の威力にも耐えることができると判断された建物に避難し、急場を凌ぐといった方法は合理的な選択肢のひとつといえます。

 

自治体の取り組み例

自治体の取り組み例

防災インフラの整備

自治体が整備する主な防災インフラには「防災無線通信」「防波堤・防潮堤」「防災案内」「非常用電源」「住民意識の啓蒙」「情報収集・発信」「備蓄品管理」など、多様なものがあります。その他、各種マニュアルの作成や生活支援の整備といったソフト面を含めると、多岐に渡る役割が課されていることに気付きます。近年では、老朽化が進む道路や橋、建造物などの強靭化も防災対策として取り組むべき事項になっており、防災インフラの幅が拡大しています。

避難情報の提供(警報発令)

津波の危険が予測された場合、直ちに気象庁から警報および注意報が発表されます。それを受け、防災行政無線を通して域内に危険を知らせる警報が実施されます。

避難訓練

避被災時に適切な行動を取ることができるよう災害を想定した模擬訓練をいいます。津波を想定する場合、命を守るために取る行動や避難ルートを実際に学べます。住民の助け合いも重要となるため、コミュニティの形成を深める場としても有効です。学校や公共機関、提携企業などと連携した取り組みもあります。

ハザードマップの製作

ハザードマップは、起こり得る自然災害を地図上で表現した防災情報です。沿岸部においては津波の発生に焦点を置いた水害ハザードマップなども存在します。浸水想定区域といった情報が地図上に記されており、一目瞭然で危険度が分かります。災害対策や避難計画についてはハザードマップを基に作成されることも多く、市町村のホームページのほかパンフレットや防災案内板などにも記載されています。

 

防災標識の活用

防災サインの活用

防災サインは、避難拠点やルートといった避難行動に関する情報発信に用いられます。とっさの行動が重要となる津波災害では非常に重宝される案内です。災害に対する意識の啓蒙ができるメリットもあり、多くの自治体で導入されています。

避難誘導の標識(屋内)

屋内施設においては、消防法にて避難誘導標識の設置が義務付けられています。出入口の上部に掲げられている非常口案内やピクトグラムを目にすることも多いかと思います。停電対応のため、非常用電源との連携や蓄光塗料を用いるケースが一般的となっています。

防災案内板(マップ)

ハザードマップや避難経路を記した防災サインです。一般的な避難案内よりも情報量が多く、読み取りや位置の把握といった作業が必要となります。その分、適切な行動選択を促せるメリットがあります。

避難誘導の標識(屋外)

屋外の避難標識は、主に「防災拠点名称」「避難方向」「距離」「ピクトグラム」といった情報を組み合わせて作成されます。瞬時に、逃げる方向や距離、避難所名などの情報を把握できる表示システムが採用されています。津波からの避難においては特に重要なツールのひとつです。住民だけでなく土地勘の無い人々でも適切な避難行動が取れるよう設置が進められています。

 

当社の取り組み(デザインソーラーパネル避難標識)

デザインソーラーパネル避難標識

屋外用避難標識の課題点

屋外用の防災サインは避難行動に重要となりますが、夜間帯の視認性(見え難さ)に問題を抱えていました。通常の電飾板や照明器具を使用した場合、停電時の対応が困難となります。

また、独立発電用にソーラーパネルを備えた場合は、景観面メンテナンス費用といった新たな問題が生じていました。

ソーラー内蔵型LED避難標識の開発

デザインソーラーパネル避難標識構造

当標識は独立して発電・蓄電を行うことが可能となっています。夜間の停電時でも問題なく機能を持続します。表示面をライトアップして防災情報を発信します。

また、バッテリーには「市販の単三蓄電池」を用いています。電池本体の費用およびメンテナンス費用を最小限に抑え、従来品の1/5程度にまでコスト削減を成功しています。

津波に備えるために

津波はいつ何時に発生するか予測することができません。24時間体制で人命を守るため、適切な避難行動をサポートできるように研究開発を進めています。

 

津波からの避難 まとめ

お読みいただきありがとうございました。このページでは、津波からの避難方法についてご紹介させていただきました。津波から逃れるためには、まず「津波」の特性を詳しく知ることが重要です。その上で、各自治体が整備している防災措置に従って避難を行動に起こします。津波は非常に恐ろしい自然災害ですが、事前の知識や備えがあれば被害を最小限に抑えることが可能です。是非、ここでご紹介した取り組みなどを考慮しつつ、防災の取り組みにあたってみてください。

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