避難経路標識の導入(匝瑳市様)
- 目的
- 市内に新設した津波避難タワーへの避難経路を示す
津波避難タワーの存在を外部に啓蒙する - 導入製品
- SLB-S6036
- 設置方法
- 単独支柱建て込み(標識設置基準・ケーソン基礎)
避難経路標識の導入背景
過去の災害被害と教訓
匝瑳市は千葉県の沿岸部に位置する田園風景が美しいのどかな市街地です。
平成23年に発生した東日本大震災では、住家・非住家を合わせて全壊家屋約10棟、半壊家屋約30棟、床上・床下浸水家屋約40棟、一部損壊家屋2,100棟以上という大きな被害を受けました。同市ではこうした大規模な災害の教訓を礎にすると共に、近年の多様な社会構造の変化なども踏まえた防災事業を実施してきました。
特に、自らが考えて行動することの重要性を再認識し「自らの命は自ら守る」とする自助の取り組みの強化を進めています。
津波避難タワーの建設
自助の取り組みの一環として、市内沿岸部の避難困難地域における「津波避難タワー」が建設されました。
津波避難タワーとは、津波が発生した際に人々が素早く高い場所へ避難できるように設計された建物です。津波避難タワーは建設と共にその存在の周知が必要となりますが、新しい施設であるため周辺住民にしか認知が進んでいませんでした。また、当ケースでは住宅地の内部にタワーが建設されたため、避難経路が分かり難いという課題もありました。
そうした中、避難標識の設置により「津波避難タワーの啓蒙」と「津波避難タワーへの避難誘導」を実施するという2つの事業が企画されました。
避難経路の案内と課題点
避難標識に関して、これまで同市では防災計画に定められた経路および主要道路の電柱に「海抜情報・避難方向・避難所名などを記載した誘導案内板」を設置してきました。しかし、これらの避難標識は非発光式であったため夜間帯に表示内容が視認できませんでした。
日没後にも災害が起こり得ることを考慮すれば、電力の供給停止時にも機能する発光型の標識が必要不可欠だと考えられました。
デザインソーラーパネル避難経路標識による問題解決
発電構造
「デザインソーラーパネル」は、太陽電池を内部に搭載した構造をもつ内照式表示板です。
発光機能
電気工事や配線設備を施すことなく表示内容のライトアップが可能であり、夜間の視認性確保に役立ちます。
適切な避難誘導のために
まず初めに避難標識の設置場所に関する検討が行われました。津波避難タワーが建設されたのは周囲を住宅地に囲まれた場所です。入り組んだ路地を抜けていかなければ津波避難タワーに到達できないため、適切な誘導案内が必要不可欠でした。
避難ルートの決定
避難ルートは「市内の主要道路からタワーに至るまでの路地」と想定され、路地の入口および導線となる市道の交差点に避難標識を設置することに決定しました。想定される避難ルートの起点に案内を設置することで、多くの人が利用する市道から津波避難タワーに至るまでの方向や道順を明示できるようになりました。
避難経路標識の導入による効果
夜間の視認性を向上
実際にデザインソーラーパネルを設置してみると「想像以上に明るく点灯しており夜間の視認性が良い」というコメントをいただきました。
都市部や繁華街を除き、街灯が少なく夜間に真っ暗になってしまう場所はまだまだ数多く存在します。特に、避難のための防災対策が必要な沿岸部はその傾向が強いとされています。
防災ソリューションの一環として
太陽電池を活用し災害時にも照明機能を維持できる避難経路標識は、防災対策が必要とされるシーンにおいて既存製品では実現できなかったソリューションを提供できます。また、平時から夜間の点灯表示を行うことにより付近を通行する人々の「避難標識への誘目性」が高まり、防災意識の推進にも一定の役割を果たしています。
匝瑳市様からは、今後の津波避難タワー建設に際してもデザインソーラーパネルを併せて設置したいとの評価をいただきました。