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蓄光サインの仕組みと特徴 ~いまさら聞けない防災関連用語をおさらい~


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こんににちは、エコフューチャーです。

従来は建物や地下道における誘導灯の代わりとして使用されることが多かった蓄光サイン。近年では屋外においても防災用途で使用されるケースが目立ちます。蓄光サインの設置が一般化する一方で、その発光の仕組みや特徴について理解しているひとは少ないではないでしょうか?

蓄光サインが光る仕組み

防災対策として使用されるケースにおいては、たった1枚のサインが人命にかかわります。きちんと蓄光サインの特性を理解することが求められています。そこで、まずは、蓄光サインが発光する仕組みについて整理してみたいと思います。

蓄光サインが発光する仕組み

設置時の電気工事や配線工事が不要で、設置後も電気も使わずメンテナンスもほぼ必要ない蓄光サイン。ただ貼り付けるだけで暗い状況下でも発光し表示内容を確認できるという、とても便利な特徴を持っています。まずは、その発光の仕組みについて確認していきます。

蓄光原料は、太陽光や蛍光灯などの光エネルギーを蓄える性質を持っています。すべての物質は吸収したエネルギーを何らかの形で放出しようとします。放出する際のエネルギーの形は光や熱などさまざまです。特に蓄えたエネルギーを徐々に光として放出する物質を蓄光と言います。

より専門的な解説によれば、「蓄光原料が光を吸収すると電子が励起された状態になり、光の吸収がなくなると励起された状態から電子がより低い軌道に遷移することによって光子が出る現象が起こるため光って見える」とのことです。専門家でなければここまでの理解は必要ないかもしれません。

ただし、誤解してはいけない点があります。

それは、「日中に光エネルギーを蓄えて夜間にエネルギーを放出することで光る」というわけではないということです。

「え!どういうこと?」という反応が返ってくるかと思います。蓄光原料は光を蓄えて暗所で光を放つものに違いはありませんが、実際には周りの明るさに合わせて光を放つと理解した方が正確です。

例えば、停電になった時など、急激に暗くなるシチュエーションにおいてはできるだけ早くエネルギーを放出しようとして高輝度の発光を行います。

一方、徐々に暗くなっていく屋外のシチュエーションでは暗くなるごとにエネルギーを放出していくため、真っ暗になった時にはエネルギー残量が少なく十分な発光をしないケースがあります。

つまり、発光前後の明るさの差が大きければ高輝度で発光しますが、明るさの差が少ない場合だと発光が弱くなるということです。

設置や維持メンテナンスが容易である一方、発光の仕方には特徴があります。きちんと蓄光サインの特徴を理解した上で、設置を検討することをおすすめします。

蓄光サインの明るさ

蓄光サインは発光輝度についても特徴がありますので、きちんと理解した上で正しく使用されることが望まれます。

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蓄光サインにおける輝度の単位

通常、蓄光サインの明るさはカンデラおよびミリカンデラという単位で表現されます。「カンデラ?」と思われる人がほとんどでしょう。カンデラの語源はキャンドルと言われています。

その語源のごとく、1カンデラは約ろうそく1本分の明るさだと言われています。つまり、1カンデラ=1000ミリカンデラ=ろうそく1本ということです。おおまかな明るさのイメージがわきましたか?

蓄光サインの明るさに関する基準

消防法によると、停電等により通常の照明が消灯してから20分間経過した後の蓄光式誘導標識の表示面において、おおむね100ミリカンデラ毎平方メートル以上の平均輝度となる照度を目安とすることとなっています。

ちなみに、消防法で規定されているのは屋内における使用用途に関してです。屋外ではないことに注意が必要です。昨今、屋外における蓄光サインの使用が増加しているため、屋外版の基準も策定される予定です。

蓄積サインの明るさ

それでは、蓄光サインはどの程度の輝度があるのでしょうか?蓄光サインにはランクがあり、輝度の高いものからS級、A級、B級、C級となっています。また、それぞれのランクで200、100、50といった分類がなされています。これは、蛍光灯など蓄光サインが光を吸収する光源の明るさを示しています。

とあるメーカーの製品(各種S級)の場合、20分後の平均輝度が400ミリカンデラを超えるものもあります。消防法で示される基準を大きく上回っていることが分かります。一方でB級やC級になると消防法で示された100ミリカンデラ付近の値となることが多いようです。

したがって、設置するロケーションにもよりますが、S級などランクの高い蓄積サインを設置した方がいざという時には活躍してくれそうです。蓄光サインを購入する場合には、S、A、B、Cなどの等級にも注目してみてください。

輝度の減衰について

輝度の推移

また、蓄光サインの明るさは発光経過時間と共に減衰する点に特徴があります。

とある企業のデータによれば、S級の蓄光サインにおいて、20分後の明るさは400ミリカンデラ以上であるものの、60分後の明るさは100ミリカンデラ超になるとのこと。

さらに、6時間経過後の明るさは10ミリカンデラ程度にまで低下してしまいます。1000ミリカンデラがろうそく1本分の明るさであることを考慮すれば、少し心もとない数値だという印象です。

このように、蓄光サインには電気を使用しないため簡単に設置し維持管理できるというメリットがある一方、輝度が減衰してしまうという特徴があります。

停電時の屋内など、急激に暗くなる状況下で避難にそれほど時間がかからないケースにおいては十分な効果を期待できると思います。

その一方で、地震や土砂災害などにおける屋外設置に関しては、深夜から明け方に災害が発生すると発光を確認できない可能性もあり、少し明るさが不足しているかもしれません。使用に際しては災害時の状況をよくシュミレーションする必要があるようです。

蓄光サインの設置事例

避難所サインとして

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各自治体は災害発生時に住民が避難できる場所として避難所を指定しています。どこが指定避難所なのかを示すために設置されるのが避難所サインです。

デザインとしては、指定避難所の文字とピクトサインが蓄光原料で表示されるケースもあります。全体を蓄光原料でサインを製作するとコストが高くなるため、夜間において特に視認できる必要がある箇所に絞って蓄光化しているようです。

津波避難ビルサイン

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上述のように、自治体においては避難所を指定していますが、沿岸部など津波が地震発生直後に押し寄せる地域においては、水平避難よりも垂直避難が重要になります。

そこで、沿岸部自治体においては、強度の基準をクリアした一定以上の高さがある建物を津波避難ビルとして指定しています。地震発生時には一番近くにある津波避難ビルに避難することで津波から免れることができます。

指定避難所とは違い、津波避難ビルの認知度は低いと思われるため、サインによってその存在を住民に知らせることは重要です。

ただし、津波避難ビルに指定される建物の数が多く、蓄光サインというコストのかかる標識を設置できず、通常の発光しない標識で対応するケースがほとんどのようです。

誘導サインとして

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避難する人全てが避難する方向や場所に詳しいわけではありません。旅行者や出張者といったビジターは、避難に関する情報をなにひとつ持ち合わせていないケースがほとんどです。

こうした情報弱者にとって重要なのが誘導サインです。

主に国道や県道といった通行量の多い場所や、避難所へ通じるルートの入り口などに設置されます。サインには避難場所の名称や矢印、距離が記載されていますので、ビジターでも正しい方向へ避難することができます。

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