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屋外におけるIoT/M2Mの活用と関連ニュース【2017年】

公開日: : 最終更新日:2018/12/20 環境問題, 電力・エネルギー


日々、急速に発展しているIoT分野ですが、現在のところそのほとんどは消費電力や通信が確保されている場所に限定されています。

特に、屋外は電力の整備が整っていない場合、普及が困難になってしまいます。しかし、そもそも屋外IoTにはどのような用途やニーズがあるのでしょうか。

屋外無線LAN

屋外無線LANとは、室内以外のエリアにおいて誰でも利用できるフリーWi-Fiなどの「無線通信」をいいます。駅や空港といった公共交通拠点の他、飲食店やテーマパーク、宿泊施設など様々な場所で展開されています。

日本の無線LAN環境

日本は携帯電話の普及率が高く、各個人が契約している回線を用いてインターネットに接続しているケースが多くみられます。3GやLTEの全国普及が進んでいることもあり、フリーWi-Fiなどの利用機会が少ないとされています。

観光業の推進から、訪日外国人の利用を想定し、屋内公共施設は大部分で整備がされていますが、屋外は導入が遅れているのが現状です。

屋外無線LANの普及が進まない理由

屋外で特に導入が急がれる分野は「観光」と「防災」の拠点です。欧米・アジア各国のユーザーは、公共施設や観光施設でのフリーWi-Fiの利用経験が日本と比べて非常に多いとされています。

屋外無線LAN環境の整備が進むことで、利便性・安全性の向上が期待されるものの、導入および運営に掛かる維持コストが大きい点が課題です。また、通信機器の電力確保も問題となっています。

屋外無線LANの普及促進

普及を妨げている要因は予算・費用の捻出が主だと考えられます。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてインフラ整備が急ピッチで進められていることから、通信設備にも予算が割かれており、今後普及率は拡大していくと予測されています。

屋外無線LANの将来性

上記に挙げた観光・防災の用途が重要項目として挙げられる一方で、第四次産業革命と称される「IoT」への活用も期待されています。

例えば、センシングなどにより得た各種データを利用して、新しい価値をもった製品やサービスが次々と誕生しています。通信の整備はIoTの活用に欠かすことができないため、インフラ環境の充実は技術発展の面でも意義があると見られています。

無料のWi-Fiサービス

ニューヨークでは、滋賀「LinkNYC」という無料のWi-Fiサービスをスタートしています。基本的な施策はNTT東日本と同様に、公衆電話をWi-Fiスポットに置き換えていくものです。

今後数年間で7500のスポットを設ける壮大な計画です。さらに、この計画には税金が1円も投入されないのです。

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上がニューヨークに設置されているWi-Fiスポットです。とてもおしゃれな外観です。Wi-Fiルーターのほかにもアンドロイドタブレットが埋め込まれており、利用者は無料でWEBの閲覧や目的地までの経路検索、アプリで通話を行うことができます。

こんなに充実した機能とおしゃれな外観が備わった機器を無償で設置できる理由は、筐体の側面に設置された「ディスプレイ」にあります。ここには常時広告が掲載されています。

つまり、広告収入によって設置費用と運営費用を賄うモデルとなっています。ニューヨークのど真ん中に設置されるとなれば、公告効果も高く出稿料金も期待できるのではないかと推察されます。

日本での普及

日本でもNTT東日本をはじめ、屋外における公衆無線LANの整備が進んでいます。しかし、諸外国と比較するとその動きは緩やかです。

2020年のオリンピックを控え、観光客の利便性を向上し、再び訪れてもらえるような魅力的な街づくりを実現するためには必要不可欠な施策です。

国や自治体も予算の確保に苦慮している現状を考慮すれば、ニューヨークのように広告収入で持って税金の投入なしで環境整備をおこなう取り組みが積極的に進められるべきではないかと思います。

防災

災害情報の収集

災害発生時、被害を出来る限り小さく抑えるための最も重要な要因のひとつが「情報」です。災害情報とひとくくりに呼ばれますが、タイムリーな災害状況や避難所の様子、備蓄品の有無、被害想定や指示案内まで多くの種類が存在します。

混乱状態にある中で適切な情報収集と把握を行うことは難しく、予めの準備徹底が必要となります。IoTが特に重宝されるのは「タイムリーな情報」の収集です。

気象や河川、火口の情報を、センシングを用いて収集し、分析を行うことで災害発生の予測に役立ちます。また、災害発生後も現場の様子を把握できれば、安全な避難に繋げることが可能となります。

情報発信

リアルタイムで収集した情報での災害状況の把握は、災害対策の迅速な意思決定に役立ちます。ここで重要になるのが、正確な情報の提供です。

統制が不安定であれば、多様な情報がいくつもの経路により発信されてしまうため、時には信憑性の無いデマのようなものまでが流通してしまいます。情報管理は一元化し、正しい情報を需要者へ直接、またはより少ない経路で発信することが理想です。

そのため、防災情報を一元的に収集・管理・共有することが可能なシステムの構築やメディア報道・メール・アプリ・SNSなどを利用した直接的な情報発信サービスの確立が必要となります。

太陽電池で稼働する「観光・防災Wi-Fiステーション」が登場

静岡県の川根本町は中山間地域という地理的条件から、民間企業によるブロードバンドの環境整備が進んできませんでした。そこで、公設民営方式により、耐障害性の高い光ファイバーと無線による高速ブロードバンド環境が整備されました。

加えて、観光情報の配信や災害時の通信手段を確保するための公衆無線LANシステムとして、観光・防災Wi-Fiステーションの設置も実施されています。駅前や観光案内所、観光スポット、学校、避難所などの観光地や避難場所にWi-Fiスポットが設置されました。

通常時は地域住民や観光客向けの公衆無線LANサービスを提供するとともに、観光情報や行政情報の提供を行います。一方、有事の際には、Wi-Fiステーションに搭載された太陽光パネルと蓄電池によって電源を確保し、避難情報や通信手段を提供します。

屋外のWi-Fiスポットの整備は今後ますます重要な課題となります。防災面はもちろんですが、携帯キャリアと契約していない外国人観光客が急増する中、彼らの満足度を高めて真の観光立国を成し遂げるためにはインターネット環境を整備することは必要不可欠です。

地下鉄やコンビニなど屋外における公衆無線LANサービスは普及していますが、屋外の観光地などにおいてはまだまだ整備が進んでいません。その理由のひとつとして、施工コストの高さが挙げられます。

Wi-Fiスポットを稼働させるためには、当然電力を必要とするため、電気工事が必要となります。また、Wi-Fiスポットに搭載されたルーターをインターネットと接続するためにLANケーブルと有線接続させる必要もあります。

つまり、屋外にWi-Fiスポットを設置するためには地面を掘り返して電気工事や配線工事を行う必要があり、機器本体よりも高額な工事が必要となります。

今後は本件のように太陽電池と蓄電池を組み合わせることで電気工事と配線工事を不要にした屋外型Wi-Fiスポットが登場するのではないでしょうか?

監視

高齢者の事故対策

高齢化社会となるのに伴い、お年寄りの事故が多くなっています。中でも重要な問題とされているのが認知症です。判断力が大きく低下した状態にあると、外出したまま家に戻れなくなったり事故に遭遇する可能性が高まります。

こうした問題を防止するため、見守りシステムの普及が進められています。見守りシステムとは、保護対象者の居場所を把握・追跡できるように構築された技術です。

センサーやカメラを用いた監視方法が一般的ですが、保護対象者のIDタグと照らし合わせ、位置情報サービスとの連携により現在地の確認や緊急時の連絡・通報を可能にしています。

遭難事故対策

登山やスキーなどスポーツでの遭難事故対策にも、見守りシステムが利用できます。但し、山は携帯電話の通信設備が行き届いておらず、GPSや位置情報発信ツールが使用できない状況に置かれてしまうケースも少なくありません。

現在では、一般の通信帯域を用いないIoTデバイスが登場していることもあり、外部からの位置情報の把握が可能となりつつあります。

屋外型ビーコンでナビゲーションを提供

国土交通省は、「東京駅周辺屋内外シームレス測位サービス実証実験」を開始しました。アンドロイドのアプリを使用すれば、地上・地下・屋外を問わず現在地や目的地が分かるという優れモノです。このサービスの仕組みは以下の通りです。

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まず、東京駅の付近に約300機のBLEビーコンが設置されています。このビーコンの一部は電池駆動ですが、屋外に設置されるものについては太陽電池が搭載されており、配線なしで電力を賄うことができます。

また、太陽光で発電するほか、照明光による発電もできるとのこと。アモルファスタイプの太陽電池が使用されていると思われます。

これら複数のビーコンから発生した電波の強度を基に3点測位方式で場所を特定します。また、ビーコンのほかにもWi-Fi測位やPDR、GPSも組み合わせているとのこと。

測位された現在地情報を基に、目的地までの経路検索およびナビゲーションを行います。加えて、改札やロッカー、トイレ、駅出口、グルメ、カフェ、コンビニ、銀行といったスポットを指定した周辺施設の表示も行えるようです。

いろいろな活用方法が検討されているビーコンですが、屋外にも設置場所を拡大した珍しい例と言えます。さらに太陽電池を組み込むことで、課題のひとつであった電力の確保も解決できる可能性があります。現段階では実証実験とのことですが、いち早い実用化が期待されます。

商業

顧客情報の収集

スマートフォンのアプリやビーコン端末から、商業施設内の顧客行動履歴や買い物に繋がる導線を見える化してデータベースを作ることが可能です。

回遊と購買のデータがあれば、人の移動・流れを分析して、ターゲットごとに細やかなPR発信やサービスを施し、消費活動の喚起およびリピーターの獲得などにも繋げられます。

また、同時に無駄な広告や人材の配置といったコストを削減でき、効率的なリソース配分にも役立つと考えられます。

広告/クーポン発信

収集した顧客データは、有効に使わなければ持て余してしまいます。IoTを上手く活用できれば、セグメント化した顧客層ごとに適切な広告情報を発信できます。

スマートフォンアプリでのサービスやビーコン等デバイスを用いた電子クーポンの提供など、アプローチ手法は数多く存在します。実店舗への誘導としては屋外看板を電子化し、情報発信端末として利用する方法が広まりつつあります。

ビーコンを搭載したソーラーライトで歩行者観光客を案内

東京都の三宅島では、ビーコンを活用した歩行者用観光案内・避難経路案内サービスの提供を開始したとのことです。

ビーコン内蔵のソーラー発電による小型LED照明を設置した観光案内標識の近くを通ると、専用アプリをダウンロードしたスマホやタブレットが反応する仕組みです。

空港や支庁前など島内6カ所に観光案内標識や看板が設置されています。近隣の名所や施設、災害時の避難場所などの情報を入手できます。アプリには自動翻訳機能が組み込まれており、日本語のほかに英語や中国語韓国語にも対応できます。今後は音声案内システムも組み合わせた製品を開発する予定とのこと。

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これまでの観光案内、防災案内に関しては動かないアナログ標識がメインでした。今後は無線通信機能との融合でよりリッチな情報を提供する仕組みが普及しそうです。

電話ボックスをWi-Fiスポットとして再活用

NTT東日本は、公衆電話バックスを無線LANであるWi-Fiの設置場所として地方自治体や観光協会などに貸し出すと発表しています。

料金は電話ボックスの設置場所の地代などによって異なるようですが、月数千円程度とのこと。屋根があることやアンテナや機器を取り付けられるように改装されるようなので、設置は容易に行えるようです。

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携帯電話の普及に伴い、公衆電話は急減しています。1999年には35万台あった公衆電話も、2014年には9万台にまで減少しています。赤字が続いている電話ボックスの有効活用として注目されています。

また、屋外にWi-Fiを敷設する際には、電源や配線の確保が大きな課題となっていました。その点で、公衆電話ボックスを活用できるようになれば、屋外でのWi-Fiエリア構築に弾みが付きそうです。

外国人観光客が急増する中、インターネット接続サービスの品質向上が大きな課題とされてきましたが、その解決策のひとつになりそうです。

スマート看板・標識

通信事業者の間では、スモールセル(携帯電話基地局の種類の一つで、通常の基地局を補完するために用いられる、小出力でカバー範囲の狭い基地局のこと)の設置が今後さらに加速すると見られています。

それに合わせて、小型化した基地局装置を、看板や電灯等に潜り込ませて展開しようとする動きが始まっています。

スモールセルはマクロセルに比べて設置コストを抑えることができ、かつ1局当たりの収容ユーザーが少ないために快適な電波環境を作りやすい点が特徴です。このスモールセル基地局を電灯や照明付き看板、デジタルサイネージ等と一体化することで、展開を迅速に行おうとしています。

基地局設備を提供するベンダーは、数年前から基地局の小型化に取り組んできましたが、設置場所の確保という課題に直面しています。スモールセルの設置に適した場所は限られており、設置場所を確保する手間とコストが膨れ上がっています。

これを解決するためファーウェイが推進しているのが「クラウド・ソーシング・スモールセル」という基地局展開モデル。基地局内蔵看板や電灯を作るだけでなく、その設置スペースを大量に所有する事業者等と提携して、サイトの確保・設置まで含めてトータルに通信事業者を支援しています。

具体例として、フランスに本拠を置く屋外広告最大手のジェーシードゥコーと提携し、同社が市街地や交通機関、ショッピングモール等に所有する広告用スペースを基地局用に提供しています。また、オランダでは、ボーダフォンが500カ所のバス停広告ボードにスモールセル基地局を展開しました。

フランスでも同様に広告会社と協力して、スモールセル基地局を内蔵した広告ボードを展開中です。さらに、中国・上海市では今後3年間で複数の通信事業者、電力会社と協力してスモールセル基地局を組み込んだ1万機の「スマート街灯」を設置する予定です。

これらの動きにより通信事業者は、基地局の設置場所の確保と設置にかかるコストを効率化できます。一方、広告ボード等の設置者は、通信事業者から対価を得ることができます。

また、Wi-Fiスポットで行われているように、周辺のスマートフォンユーザーに対して、集客を目的としたコンテンツ配信を行う広告展開も可能です。そして、ユーザーはエリアの拡大と通信品質向上の恩恵を受けられます。

関係者全てが利益を享受できるこのモデル、今後、日本でも展開が予想されます。特に、Wi-Fiスポットの整備が遅れており、東京オリンピックに向けたインバウンド戦略の実行に影を落としている現状を考慮すれば、積極的に推進されるべきではないでしょうか?

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