JIS規格 災害避難誘導デザイン

お役立ち情報

災害避難誘導デザインにおけるJIS規格の役割は、国家標準として防災案内の表示情報を定める点にあります。このページでは、平成28年に経済産業省から発表された「JISZ8210 案内用図記号改正」および「JISZ9098 災害避難誘導標識システム制定」を中心に、JIS規格災害避難誘導デザインについて詳しくご紹介しています。

災害避難誘導標識システム(JISZ8210/JISZ9098)

災害避難誘導標識システム(JISZ8210/JISZ9098)
※災害避難誘導標識システムを用いた防災案内の例(当社製品「デザインソーラーパネル避難標識」より)

平成28年、経済産業省から「JISZ8210 案内用図記号改正」および「JISZ9098 災害避難誘導標識システム制定」が発表されました。避難活動の効率を引き上げるため、従来よりも災害時の避難誘導デザインが詳細に規定されています。

JISZ8210 / JISZ9098

JISZ8210 / JISZ9098

JISZ8210は災害避難のためのピクトグラム規格です。

地域住民だけでなく観光客の利用も視野に入れた設計となっています。効率的な誘導案内を可能にするため、災害種を表す図記号が追加されました。その内容は「洪水 / 内水氾濫」「土石流」「津波 / 高潮」「崖崩れ・地滑り」「大規模な火事」および注意図記号である「土石流注意」「崖崩れ・地滑り注意」の計7つとなっています。

こうした図記号は、JISZ9098でも記載されている通り、避難所の場所や名称、距離などの情報と組み合わせた表示を想定しています。災害避難誘導デザインについては、災害種別の注意図記号や避難場所図記号が定められています。

これにより、ピクトグラムを見ただけで避難情報が認識できます。

災害避難誘導のデザイン(組み合わせの例)

災害避難誘導のデザイン(組み合わせの例)

図柄と指示案内を組み合わせた形の災害避難誘導デザインは上記のような形となります。

それぞれの災害種別に「〇」と「×」のマークが付けられています。これは避難所が安全を確保した災害の種類を示すものです。「×」がある場合は避難所としての機能を果たさないことを意味します。

 

災害種を表すJIS規格デザイン

洪水 / 内水氾濫

洪水 / 内水氾濫

「洪水」は、大雨によって河川から水が溢れ出し陸地へ浸水していく災害です。日本では各地で河川の堤防整備が進められ、洪水の発生を抑制しています。しかし、想定以上の大雨による堤防の破堤が起きた場合、洪水被害を止める手立てはありません。

「内水」は、堤防で守られた「人が住む土地」にある水の蓄積をいいます。雨水の量が都市の処理能力を超えると内水氾濫が発生します。排水用の水路などが水位を増して浸水するためです。近年では、ゲリラ豪雨など「局地的な大雨」が多発しています。そのため、内水氾濫による被害が日本各地で増えています。内水氾濫は比較的ゆっくりとした動きで進行します。避難指示に従って行動できれば生命の危機は回避しやすいといえます。

洪水・内水氾濫は人命だけでなく家屋や電気機器などに悪影響を及ぼします。特に、経済面で大きなダメージを与える可能性があります。雨水の排水については、都市開発などの要因が被害の影響を左右するため、個人の対策には限度があります。緊急的な回避策として、短時間大雨情報などが発表された際に重要な家具や電気機器を2階以上もしくは高い位置に移動しておきましょう。また、命を守るために頑丈な建物に避難しておくといった行動が重要です。

土石流

土石流

「土石流」は、土砂が雨水や地下水に混ざって河川を流下する災害です。渓流内に堆積している土砂が豪雨による多量出水のはたらきで流動化し、流れ落ちることによって発生します。土石流は台風や大雨、地震といった災害の影響で引き起こされます。その予兆としては山鳴りや川水の濁りなどが挙げられます。日本国内では特に九州・中国地方で多く発生しています。ゲリラ豪雨の頻発や火山灰などの脆い地層が原因とされています。

土石流は流れが早いため、災害が起こってから逃げるのは困難です。つまり、対策としては土石流を発生させないための施策が必要となります。具体的には「砂防ダムの作成」または「流れを拡散させる整備」が挙げられます。しかし、これらは大きな費用が掛かるため国や自治体の取り組みとなります。個人の注意点としては豪雨の際の早急な避難が重要です。

津波 / 高潮

津波 / 高潮

「津波」は、地震によって引き起こされる海底から海面までの海水全体の動きをいいます。波長が長く、波の山が見えるわけではありません。そのため、沖では津波を感じることがありません。

「高潮」は、発達した低気圧の影響により強風で高波が発生して海面の高度が高くなる現象をいいます。高潮は波長が短いため、沿岸や沖で激しい波打ちが確認されます

いずれも沿岸部を襲う水害ですが、それぞれ性質が異なっています。津波と高潮を比較して危険度がより高いのは津波です。2011年の東日本大震災や2004年のスマトラ沖地震で発生した津波が有名です。人々の生命や生活に対し非常に大きな被害を与えたことが知られています。津波は海岸を超えて陸上や河川を逆流しながら進行します。その流れは非常に早く、周囲を飲み込みながら建物や道路を破壊していきます。

津波や高潮の対策には堤防や避難タワーの建設といった防災インフラ設備が有効です。また、それに平行して日常からの啓蒙活動も欠かせません。例えば、ハザードマップを広く公表して避難ルートの確認を推奨したり、避難所の存在をPRして緊急時の素早い行動を促すといったことが求められます。

崖崩れ / 地滑り

崖崩れ / 地滑り

「崖崩れ」とは、台地の急斜面から土砂が崩れ落ちる現象をいいます。降雨により地面に水分が染み込み、地層が緩んでしまうことが原因とされます。また、地震の影響により崖崩れが生じる危険もあるためとっさの避難が困難な災害です。崖崩れの予兆としては、崖から水分が流れ出す、ひび割れが発生するなどがあります。こうした事象が確認された場合は災害を警戒し、安全な場所への移動が求められます。

「地滑り」は、緩い斜面においてゆっくりと土砂が移動する現象です。主な原因は地下水の増加であると考えられています。地盤の土塊が緩み、大雨や雪解けなどの影響で広範囲に広がりながら下流にある家屋などを巻き込み流れ落ちます。地滑りにも、地面のひび割れや陥没、地鳴りといった予兆があります。雪解けの季節や豪雨の際には注意深く観察する必要があります。

 

防災案内への応用

避難標識

当社では、JIS規格に適応した避難標識の取り扱いを行っています。避難標識は地元の方だけでなく観光客やビジターも考慮した案内でなければなりません。分かりやすく、誰にでも伝えられるユニバーサルデザインの概念も取り入れています。

ソーラーパネル内蔵のLED避難標識 | エコフューチャー株式会社
ソーラーパネルを内蔵した「コードレスで光る避難標識」です。独自の発電システムにより夜間に避難標識をライトアップ。停電が起きても表示内容の視認性を維持することができ、災害時の安全な避難行動をサポートします。また、煩わしい配線工事をカットしたう...

こうした防災情報の発信方法については、2017年に総務省より発表された「避難所等の指定・運営等に関する実態調査」にも掲載を頂いています。

総務省[避難所等の指定・運営等に関する実態調査]

防災案内や災害避難誘導デザインでお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。

 

JIS規格 災害避難誘導デザイン まとめ

お読みいただきありがとうございました。このページでは、JIS規格として定められている避難誘導デザインについてご紹介しました。上に述べたように、避難案内を行うピクトグラムは効率的な理解が重視されています。避難標識システムとして用いられることが前提となっており、以前よりも詳細な情報提供が可能となりました。防災情報は災害から身を守る最も身近な案内です。デザインの内容を理解しておき、緊急時にお役立てください。

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